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「マダム、子どもがあなたに食事をあげたいんだって〜」 外に並ぶ子どもたちにチャパティを給仕していたら、 インド人ガイドから、食堂に入るように促された。 なんのことか理解できないまま、ひとりの女の子の もとに連れて行かれた。 するとその子は、自分のバナナの葉っぱ(南インドでは お皿がわり)に施された食事をきれいに手で混ぜ、その手 でわたしの口に直接入れて食べさせたいというのだ! 「え? そんな・・・」 と、戸惑う暇もなく、今までにない初体験に硬直し、 なされるままに口を開けたのだった。その瞬間、150人 の子どもたちからいっせいに、歓迎の拍手がおこった。 日本の皆様からあずかった中古衣類や文具を持参し、 南インドの孤児院に渡しに行ったとき、フリーミール (食事の提供)も同時に行なった。 普段は「ごはんとカレー」くらいしか食していない子どもたちは、 チャパティやイッドゥリーという、めったに食べられないものを 目の前にして、こんな小さな身体のどこに入るのかと思うくらい、 たっくさんお替りをしていた。 学校や孤児院でのフリーミールは、渡印時に毎回行なう ので、『食事をあげたい』といわれたとき、いつものように バナナの葉っぱに子どもたちと同じ食事が給仕され、 一緒にいただくのかと思っていた。 それが、直接口に入れられるとは・・・ 南インドでは誰しも、右手がスプーンやお箸の代わりを なし、上手に食事をする。 こんなにインドに通っていながら、手づかみで食事をすること にまったく慣れないわたしは、いつも【マイ・スプーン】を持参し、 どこで食事をするときにも困らないようにしている。 つまり、【自分】の手で直接食物を触るのにも抵抗がある のに、【他人】の手で、しかも、その子が途中まで食した ものをいただくことになるなんてと、一瞬動揺したのである。 しかし、同じように提供された姉は、平気でその子からの 食事を口にしていた。 わたしと違って、子ども二人と孫を育てている経験がある からなのか、インドの習慣に随分馴染んでいた。 つづく・・・ |
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